飼っている2頭のミニチュアピンシャー（オス）が庭で吠え始めた。飼い主で、郡山市日和田町に住む石田キコ（ニックネーム・50代）さんが何事かと思い、窓の方を見るとイヌでもない、ネコでもない大きな動物が目に入った。その距離100メートルほど。

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「あれは…シカか？」

離れていのでそこまでの恐怖はなかったが、そのシカらしき動物はずんずんと石田さんの家の方に近づいてきた。よくみると、シカでもなくイノシシでもない。すると、ミニチュアピンシャーがこれまでにないくらいの吠え方で威嚇し始めた。

その動物は驚いたのか、急に踵を返し、かなりのスピードで逃げ去ったという。見たこともない、不思議な動物だったので、石田さんはとっさに持っていたスマートフォンを起動し動画を撮影しようとした。しかし、なかなかうまくいかない。僅かだが、起動に時間がかかる。1秒でも早く、カメラの録画ボタンを押したいが、もどかしい。そして、ようやく撮影できたのが、添付されている動画だ。

撮影できたのはわずか6秒ほどだが、そこに映っていたのは、かなりのスピードで走る、白っぽく、茶色っぽくもある動物。角もあるように見える。
石田さんは日和田町で暮らし始めて28年になるが、「こんな動物は見たことがない。私が見たことがあるのは、小動物。キジとかハクビシンとか、あと、タヌキね」という。

動物が走り去っていった手前のグラウンドはかつては藪で、震災後は除染の土や東日本台風の際は、川の土砂の仮置き場になっていたが、去年から整備され、最近は小さな子どもたちが遊んでいたり、近所のお年寄りたちがグラウンドゴルフを楽しんでいたりしているという。そのため、石田さんは「もし、子どもたちと遭遇しては危ないのでは…」と思い、近所の人たちにも動画を見せ、調べてみると…。

「これってニホンカモシカではないか…」。

心配になり、石田さんが郡山市教育委員会に問い合わせたところ、「他にもニホンカモシカを目撃したという情報が複数寄せられています」とのことだった。市の説明では「ニホンカモシカは国の天然記念物です」という。では、どうすればよいのか？「無理に追い払わずにそっと見守って下さい」ということだった。幸いニホンカモシカとみられる動物は、人が多い街の方には逃げていかなかった。石田さんは、近所の人たちに、このことを話し、みんなの安全のため、念のために注意しましょうと呼びかけた。

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