パチソンとは正規のアニメ・特撮ソングではない偽物、いわゆるパチモンソングの略称である。
1970年代、当時の日本では人気作品に便乗したパチソンテープが大量に出回り、ホームセンターや高速道路のSA売店などで堂々と販売されていた。
このパチテープはコストを抑えるためギャラの安い新人歌手や子供、マイナーな演歌歌手らを使い、チープなバンド演奏により一発録りで作られていたらしい。雑な演奏や歌詞間違いなどおかまいなく、そのまま製品化して安く売りさばく粗悪品のひとつだった。
販売価格は十数曲入って一本千円程度とかなり安いのだが、それでも売れなかったのか、店先のワゴンに無造作に置かれ三本千円で叩き売りされていることも珍しくなかった。
ただその安さが親たちにとっては好都合で、子供たちに買い与えられるのはもっぱらパチソンテープということになるわけである。
そして、無垢な子どもたちに大人社会の厳しい現実が突きつけられることになる・・・。
期待に胸膨らませテープを再生すると、オリジナルとは違う変なおっさんの声。事態を理解できず混乱しながら他の曲を再生するもやはり別人。
こうしてニセモノをつかまされたと悟った子供たちは、やり場のない怒りと悲しみに震えながら叫ぶのである。
コレジャナイ!と・・・。
ところで、背景画像に使用している珍妙なメンコやプラモについても触れておこう。これらは昭和の時代、駄菓子屋で実際に売られていたパチモンの数々である。
正規のメーカーから許可をとらず、それっぽく似せて作られたものだが、さすがにこんなものにだまされるヤツはいないし小遣いで買える程度のものだったので、パチモンは高価な本物の代用品としてそれなりに受け容れられていた。ただ、ガンプラブームに便乗したガンガルなどのパチプラモ群に関しては、ガンプラの品薄状態とも相まって、激しく忌み嫌われていたということは説明するまでもないだろう。
そんなパチソン・パチモンではあるが、大人になった今あらためてそれらの魅力にひたるのも一興ではないかと思い、このチャンネルを立ち上げた次第である。
子供の頃の苦い思い出を酒の肴に、パチソンのディープな世界を堪能していただければ幸いである。